anh<新聞報道> 兵庫県尼崎市の市立尼崎高硬式野球部で令和2年秋、20代の男性コーチがレギュラー選手に対し、相手捕手のサインを見て味方の打者に伝える「サイン盗み」をするよう指示していたことが12月22日、市教委への取材で分かった。コーチは従わなければ試合に出さないなどと選手に告げ、口止めもしていたという。同校は夏の甲子園大会に2度出場した強豪校。日本高野連によると、サイン盗みは禁じられており、指導者による部員への指示が発覚するのは異例。市教委によると、指示があったのは、秋季兵庫県大会3回戦前日の2年9月20日夜。コーチはレギュラー選手9人とランナーコーチ2人を集め、「捕手のサインが三塁コーチから見えたら打者に合図して伝えろ」と指示。「チームの代表である責任が分からないなら背番号を返せ」と求めた上で、「バレたら俺と監督の首が飛ぶ」「他の部員や親にも言うな」と伝えたという。しかし、翌日の試合でサイン盗みは行われず、同校は敗退した。サイン盗みを要求された部員の1人は直後から不眠や嘔吐の症状を発症。鬱病と診断され、部活動に参加できなくなったという。学校は約2週間後に不正を把握。コーチは事実関係を認めて指導から外され、その後退職した。学校はサイン盗みの指示を知りながら黙認した監督も指導自粛の処分とした。監督は翌年度に他校へ異動した。学校は一連の事実関係を公表していなかった。市教委は「鬱病になった生徒に配慮した」としている。