5555産経新聞 競技の周知・普及に向けて継続的に紙面でベースボール5(BB5)紹介。<2021.9.05、産経新聞> 野球の五輪復帰は5人制で!? 東京五輪で日本代表「侍ジャパン」が金メダルを獲得した野球は、2024年パリ五輪で実施競技から除外される一方、5人制で世界的に普及させようという動きが活発化している。「ベースボール5(BB5)」と呼ばれ、男女混合でゴムボールを使った「手打ち野球」でバットやグローブは不要だ。お手軽な遊びのような新競技だが、すでに26年ユース五輪(ダカール)で公式種目となり、東京パラリンピック期間中にはお台場で体験会も実施されている。BB5は野球の内野より狭い18メートル四方のグラウンドで行われ、塁間も野球の半分程度の13メートルとコンパクト。打者はゴムボールを自らトスして手で打つ。打球は本塁から3メートル以上離れた場所でバウンドさせなければならず、バウンドせずにフェンスオーバーすればアウトになる。守備側は5人。5回制でプレーし、走塁や得点、アウトの取り方は野球と同じで、試合時間は30分程度と短い。原点は野球道具や設備が不足しているキューバで楽しまれていた「手打ち野球」。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が2017年に発表し、アーバンスポーツに位置付ける。野球が五輪から除外された要因に、大きな球場の整備や試合時間の長さ、出場人数が挙げられる。BB5はこうした課題を解消できるとともに、5人は男女各2人以上の混合競技という特徴もある。道具などが整備されていない国々でも気軽に競技が楽しめることから、ヨーロッパや中南米だけでなく、アフリカにも普及が広がっているという。WBSCは28年ロサンゼルス五輪で野球・ソフトボールの復帰を目指す一方、5人制野球の採用にも意欲を見せる。好例がバスケットボールだという。5人制のバスケが五輪競技であると同時に、ハーフコートで行う3人制も採用された。パリ五輪開催地のフランスでオリンピック委員会専務理事を務めるディディエ・セミネ氏(仏野球連盟会長)がBB5の普及に積極的で、全日本野球協会によると、パリ五輪開催期間中に現地でプレーを披露する可能性があるという。日本国内での競技人口はまだ統計がないが、同協会などが小学生らを対象に体験会などを実施。来年にはメキシコで第1回ワールドカップが予定され、現在はコロナ禍で代表選考などは中断しているが、日本代表を派遣する計画がある。野球人気が高い日本も国内の競技者は子供たちを中心に減少傾向が続く。同協会の担当者は「野球がベースになっているが、未経験者でも楽しめる。子供たちが野球に触れるきっかけ作りとして普及を進めていきたい」と話している。(運動部 田中充)