<東京工業大学学術国際情報センター青木尊之教授を代表とする研究チーム、新聞報道> 打者の手前で鋭く落ちるような軌道を見せる変化球「フォークボール」。その謎を東京工業大学などの共同研究グループがスーパーコンピューターを使って解明し、話題を集めている。通常、ピッチャーが投げた球にはバックスピンがかかり「マグヌス効果」と呼ばれる上向きの力が発生する。フォークボールは直球に比べ回転数が少ないことから、この上向きの力が弱く、ボールが落ちると思われてきた。しかし、スーパーコンピューターによる解析では、上向きの力が弱いどころか、回転の途中、ボールの縫い目が特定の位置に来たときに、通常とは逆の下向きの力「負のマグヌス効果」が働いていた。この結果について、共同研究チームの東京工業大学・青木尊之教授は「フォークボールの条件」に言及する。「縫い目のあるボールの場合に測定しても、負のマグヌス効果は今まで発見されていなかった。負のマグヌス力は、普通はなかなか働かないが、フォークボールの条件で働くことが分かった」科学の力で変化球の謎を解き明かした今回の研究。研究グループは今後について「野球ボール以外にも、無回転のサッカーボールやバレーボールの軌道の変化、ウィンター・スポーツなどにおいてスーパーコンピューターによる解析を戦術に取り入れることが期待できる」としている。
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