<広島アスリートマガジン編集部> 育成選手として迎えた3年目の昨季は、プロ野球選手として大きく飛躍した一年となった。藤井黎來は、9月に念願の支配下登録を勝ち取ると、10月8日の阪神戦(マツダスタジアム)で一軍初登板を果たした。「かなり緊張しました」と藤井自身も話す通り、一軍の雰囲気はこれまで経験したことがないものだった。同時に一軍のレベルの高さも痛感した。「初登板の阪神戦、最初の打者が梅野(隆太郎)さんだったのですが、決め球にフォークを投げたんです。自分の中では、良いコースにいったと思ったのですが、打球はライト前へ。このとき、やっぱり一軍は違うなと感じました」ただ、それ以降は三振を奪うなど、任されたイニングを見事に無失点に切り抜け、プロ初の登板を終えた。「甘いボールも多かったので運もあったと思いますが、無失点で終えることができたのはよかったです」2020年9月26日。藤井は念願だった支配下登録を勝ち取り、背番号は「121」から「58」に変わった。この吉報を誰よりも先に報告したのは、藤井をずっと見守り支え続けた両親だった。そして10月になり、藤井のもとに一軍昇格の連絡が舞い込んだ。「コーチから連絡があって、移動日明けから一軍に合流するぞと伝えられました。聞いたときは、めちゃくちゃうれしかったですね」コーチには冷静を装い「頑張ります」と伝えた藤井だったが、電話を切ると喜びを爆発させたという。2020年の一軍登板は3試合。ただ、3試合とはいえ、一軍の舞台で、打者を相手に投げた経験は藤井にとって大きな財産となっている。そして、その経験を今シーズンに生かしていく必要がある。「今季は、昨年の一軍での登板数(3登板)は超えて、最低でも2ケタは投げたいです。そして、一軍の勝ちパターンの継投に入り、一年を通して一軍で必要とされる投手になりたいです」藤井の最大の武器は140km中盤の力強いストレートと落差のあるフォーク。この球を磨き、背番号が軽くなって初めて迎える今シーズン、一軍ブルペン定着を目指していく。<2020.9.2>ウェスタンリーグ令和2年9月1日現在、8試合登板0勝0敗、投球回数10、打者43、被安打6、四死球7、8奪三振、2失点、自責点1、防御率0.9・「本当に今年が最後のシーズンだという、危機感を持って毎日投げています」育成選手としてプロ3年目のシーズンを迎えた藤井黎來(れいら)は、誰よりも強い決意を持って、2020年のシーズンを戦っている。右腕が誇る最大の武器は、ストレートと落差の大きいフォーク。春季キャンプでは主力打者から三振を奪うなど、球の精度を高めていけば一軍の舞台でも十二分に通用する球であることを証明した。「とにかく低め低めにという意識でやっています。自分の持ち味はフォークです。ストライクも取れて空振りも奪えるフォークが理想ですね」3月25日のヤクルト戦では練習試合ながら、一軍クラスの主力相手に1回を無失点に抑えると、二軍ではここまで8試合に登板し防御率0.90をマーク。念願の支配下登録に向けて猛烈アピールを続けている。「ここまで実戦での感覚は決して悪くありません。もっともっと結果を求めていきたいけど、自分の場合それと平行して内容も求めていかないといけません」育成契約は原則として3年契約。藤井にとっては今季が勝負の年となる。崖っぷちに追い込まれた男はここから下克上の投球を見せていく。https://www.hiroshima-athlete.com/list/magazine
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