cd7915d4福岡県久留米市の県立高校の野球部に所属していた2年生の男子生徒(当時16歳)が2018年6月、いじめ被害をうかがわせるメモを残し自殺した問題で、福岡県警が、元野球部員の少年3人(既に卒業)を暴力行為処罰法違反容疑で福岡地検久留米支部に書類送検していたことが、関係者への取材で判明した。同支部は3人を同法違反の非行内容で家裁送致し、福岡家裁久留米支部が11日までに審判開始を決定した。男子生徒の自殺を巡っては、県教育委員会の第三者委員会は既にいじめとの因果関係を認めている。生徒の死から間もなく2年。真相究明が司法の場に移る。男子生徒は18年6月22日夜、自殺しているのが見つかった。生徒の携帯電話には、部員の名前を挙げ「毎日色々言われてもう限界やった」「生きているだけで苦痛だったよ」などとのメモが残されていた。県教委は翌月、第三者委を設置して調査を開始。19年3月公表の報告書によると、いじめは同学年の部員6人が中心で①男子生徒のズボンを複数回にわたって下ろした②携帯電話を複数回隠した③自殺当日に男子生徒と部員との間で起きたトラブルを機に無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループから外した――などをいじめと認定し、男子生徒が「衝動的に自殺に至った」と、いじめとの因果関係を認めた。男子生徒の家族から相談を受けた県警久留米署は当初、刑事事件として部員6人の立件は困難との見方を家族に伝えていた。しかし、いじめとの因果関係を認めた第三者委の報告書が公表された後、男子生徒の家族が部員や保護者を招いた2度の意見交換会で謝罪の気持ちが示されなかったため、男子生徒の父親は19年10月、同署に正式に被害届を提出。同署が改めて複数の部員から事情を聴き、集団で生徒のズボンを下ろした行為などが認められた3人を暴力行為処罰法違反容疑で書類送検し、地検支部が20年1月に家裁支部に非行内容を送致していた。家裁の審判開始決定について、父親は「審判の対象が3人だけなのは納得できないが、3人が事実を直視して反省を深めることで、他の加害生徒にも理解が広がってほしい」とのコメントを出した。高校の教頭は「係争中の事案のうえ、対象生徒は全員が卒業して本校と関係がないため、コメントできない」と話している。【江刺正嘉】