fullcount部員4人から倍々増 廃部の窮地を救った十和田高校野球部のSNS活用術 新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国の部活動が活動を制限されるなか、秋田県立十和田高校の野球部がSNSに投稿した部活動紹介動画が話題を集めている。発端は神居恵悟監督が廃部の危機に開設したツイッターアカウント。25歳の青年監督に野球部とSNSの在り方を訊いた。「もともとコロナとは関係なく、部員が4人まで減った2018年に、少ない人数でも工夫して練習している彼らの頑張りを何とか知ってもらえないかと考えアカウントを開設したんです。全国的に野球人口が減っているなか、地方の公立では高校野球と中学野球の接点って実は少ない。中学生は成績や家からの通いやすさで高校を決めることがほとんどで、せっかく入部してもギャップでやめてしまうことも少なくなかった。部活動も学校の魅力のひとつ。正しく情報発信していけたらと考えたのがきっかけです」高校野球の現場で度々聞かれる、シニアやボーイズとのパイプを使って中学生の有望株をスカウト、奨学金や寮費を免除するといった手法はあくまで一部の私立強豪校のもの。全国4000校の大多数を占める公立では、学力が見合っており、家から通える範囲の高校へ進学することが一般的だ。学校や指導者によって部活動への力の入れ方は様々。部活動最優先で進学先を決めた生徒でもなければ、入った学校に野球部がなかった、思っていたよりも本格的で練習についていけないといった “ミスマッチ” も少なくない。十和田高校野球部公式アカウントに、初めて動画を投稿したのは昨年1月。「Team Towada」を合言葉に地域の人たちとキャッチボールの輪を広げていく動画は地元を中心にジワジワと拡散、その効果あってか春には8人の部員が入部した。今年はどうしたらもっと魅力が伝わるかを選手に考えさせ、新入生向けの野球紹介動画を選手たちが企画。まだ入部期間中ながらすでに11人が入部の意思を示しており、なかには十和田の野球部に入りたいと学区を越えて近隣の大館市から入学を決めた生徒もいるという。「 編集は私がしていますが、企画や発案はすべて生徒によるもの。動画編集はまったくの初心者だったんですが、今は特別な機材も必要なくスマートフォン1つで撮影から編集までできるので、今後もどんどん発信していきたい 」と神居監督。強豪校では不祥事やトラブル防止の観点から選手のSNS使用そのものを禁止するところも多いが、「 あくまで私の個人的な考えですが 」と前置きした上で「 いろいろと情報が得やすい時代。日々生まれる便利なツールも、使ってみないと正しい使い方を覚えない。まずは我々大人が使ってみて、時には失敗して、そうして初めて正しい使い方を教えられるのではないでしょうか。自分たちもいわゆる『 デジタル音痴 』ですが、子どもと一緒に使って勉強していければ 」と野球部とSNSとの在り方を問う。世間は今まさにコロナ危機の真っただ中。都市部では秋田以上に行動が制限され、部活動がままならない地域も多い。十和田高の例がすぐにモデルケースとなるほど状況は単純ではないが、野球部とSNSの関係を考え直すひとつの契機にはなるかもしれない。佐藤佑輔 / Yusuke Sato