enhttps://sportiva.shueisha.co.jp/ 全体的に少し気になったのは、メジャーリーグの影響なのか上半身の力だけで振ろうとしている打者が多かったことです。たしかに、ロスの小さいメジャーリーガーのスイングはある意味、理想です。でも、それは強靭な上半身の筋力があった上でのこと。外国人の丸太のような腕があれば別ですが、日本人の場合は骨格的に全身をフルに使ったスイングのほうが合っていると僕は思います。上半身の力に頼っている打者のほとんどは、高校卒業後に木製バットに変わって苦労しています。そうなると、バッティングを一から作り直さなければならないので、高校時代からしっかりとした形を作っておいた方がいいでしょう。ポイントはやはり 「上半身と下半身のバランス」。上半身はヒッチやコックなどの予備動作、遊びで間を作って、下半身は軸足側に体重を残しながら前へステップする。もちろん、打者によって向き不向きはありますが、基本動作として頭に入れておいてもらいたいですね。天井一輝 / 広島商3年、178/78、 外野手、右投左打。今回見た選手のなかで、一番惹かれたバッターは彼でした。何がいいかと言うと、ボールの見送り方がいい。構えからスイングまで全体的にバランスがよく、ボールをしっかりと見極めている。これはできそうでできないことなんです。体つきも下半身の強さもあるし、あとは全体的に力がついてくればもっと飛ばせるようになるはず。今はまだガムシャラにやっているだけでしょうが、「どうしたらこの球をこの方向に打てるか?」 と考えて打てるようになれば大化けするはずです。変なクセもないし、僕が指導者なら 「教えがいがあるなぁ」 と感じる素材です。遠藤成 / 東海大相模3年、178/82、遊撃手/右投左打。しっかりとバットを振り切れるし、面白い素材ですね。面構えからして、相手に向かっていく気迫を感じます。少し気になるのは、引っ張りたい気持ちが先行しているからなのか、ホームベースから右45度の角度で野球をやっているように見えます。軸足への体重の乗りが浅く、体重移動のバランスがもうひとつ欠けています。いい打者なのは間違いありませんが、広角に打てるようになるにはどうすればいいか、追求してみてほしいです。● 文 菊地高弘 text by Kikuchi Takahiro