春夏の甲子園が記念大会だった2018年の高校野球は、歴史を塗り替える記録や名場面が数多く誕生した。独断で今年の高校野球10大ニュースをピックアップしたい。【1】大阪桐蔭が史上初となる2度目の甲子園春夏連覇。センバツでは史上3校目の春連覇を達成。決勝・智弁和歌山戦は、根尾昂内野手(3年)が2失点完投でセンバツ史上初の2年連続胴上げ投手となった。夏の甲子園では根尾と藤原恭大外野手(3年)が、2試合でアベック弾を放つなど他校を圧倒。決勝・金足農戦は柿木蓮投手(3年)が完投し、5度目の全国制覇を果たした。西谷浩一監督(49)は春夏通算7度目の甲子園優勝となり、中村順司氏(元PL学園監督)を抜いて甲子園優勝回数で歴代単独1位に躍り出た。【2】金足農が夏の甲子園で大躍進。エース・吉田輝星投手(3年)が中心となり、横浜、近江などの強豪を撃破。秋田県勢103年ぶりの決勝へ進んだ。東北勢として春夏通じて初の甲子園優勝は逃したが、快進撃は全国の注目を集めた。吉田は大会最長タイとなる4試合連続2桁三振を記録。“侍ポーズ”も注目された。【3】センバツが第90回、夏は第100回の記念大会。春夏ともに甲子園が大盛況。センバツでは大会第3日に、入場できない可能性を知らせる「満員通知」が出された。大会関係者によると、センバツでは88年以来30年ぶりだった。夏はバックネット裏の中央特別席が前売りの指定席となり、外野席が有料化されたが、総入場者が史上初めて100万人を突破。過去最多101万5000人が駆けつけた。【4】甲子園でもタイブレーク導入。今春センバツから甲子園でも試合の早期決着を目指す特別ルールが取り入れられた。延長十二回終了時に同点の場合、同十三回は両チームとも無死一、二塁から攻撃する。センバツでは行われなかったが、夏の甲子園では2試合で適用された。初めて適用されたのは、大会第2目第4試合・佐久長聖-旭川大高戦。先攻の佐久長聖が延長十四回に奪った1点を守り切って、3時間7分の“歴史的な試合”に勝利した。【5】球史に残る名将が聖地に別れ。監督として歴代最多の甲子園春夏通算68勝を誇る高嶋仁監督(72)が、体力面を理由に8月25日に勇退を発表した。智弁学園と智弁和歌山を指揮し、歴代最多の通算38度の甲子園に出場。80年に就任した智弁和歌山では春1度、夏2度の優勝を果たしている。【6】夏の甲子園史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打。2回戦・星稜-済美は大会2度目のタイブレークに突入。星稜が2点リードの延長十三回無死満塁で、済美・矢野功一郎内野手(3年)が、右翼ポールを直撃する歴史的本塁打を放った。済美は八回に最大6点差をひっくり返した後、九回に同点とされたが、ミラクル弾で締めくくった。【7】高校野球も気候に苦戦。7月は西日本豪雨災害で被害を受けた岡山、広島など複数の地方大会で日程が変更された。また、京都大会は酷暑対策で、暑さが厳しい昼間に休憩を設定。午前中に2試合を行い、第3試合は16時開始で計4試合を実施した。ナイターとなった第4試合は異例の22時37分終了だった。【8】秀才左腕が偉業逃す。滋賀県内屈指の進学校、彦根東の左腕エース・増居翔太投手(3年)が、センバツ3回戦・花巻東戦で、9回ノーヒットノーランから敗戦投手となった。延長十回の先頭打者に初安打を許し、04年にダルビッシュ有(東北)が達成して以来14年ぶりで、大会史上13人目の快挙達成を逃した。その後、犠飛でサヨナラ負けを喫した。【9】夏の甲子園で2年生投手が躍動。星稜・奥川恭伸投手は藤蔭戦で、2年生として4人目で自己最速の150キロを計測。日大三・井上広輝投手も奈良大付戦で150キロを投げた。創志学園・西純矢投手は、創成館戦で最速149キロで毎回の16三振で完封。夏の甲子園出場は逃したが、大船渡・佐々木朗希投手も岩手大会で最速157キロを計測して注目を集めた。【10】龍谷大平安が節目の甲子園100勝。京都の名門が、史上2校目の甲子園春夏通算100勝目を挙げた。夏の甲子園1回戦・鳥取城北戦で、九回サヨナラ勝ち。OBでもある原田英彦監督(58)は悲願達成に号泣した。27年夏の甲子園初勝利から、74度目(春40度、夏34度)の聖地で大台到達となった。(デイリースポーツ・西岡誠)
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