riseishahttps://www.riseisha.ac.jp/jobdata/capacity/ 裏方から20年東京五輪を目指す人たちがいる。野球の試合が終わると、記者に配られる「公式記録」。大会が認定した記録員によって作られるもので、打数や投球数など、記された情報をもとに記者は原稿を書く。今月3日から宮崎で開催されているU18アジア選手権でも 「国際記録員」 と呼ばれる人々が試合を支える。その国際記録員を養成する機関は、日本でたった1つだけ。大阪にある履正社医療スポーツ専門学校だ。OBの中村風香さん(24)は、国際記録員と活躍しながら、現在は同校で国際記録員を養成する講師を務めている。中村さんは今回、インドネシア・ジャカルタで行われたアジア大会で約15日間公式記録員を務めた後、自宅のある大阪に帰らずそのまま宮崎入り。国際大会を経験するのは7回目と忙しい日々を過ごす。履正社医療スポーツ専門学校に国際記録員要請講座ができたのは、約3年前。中村さんがきっかけだった。北海高校の軟式野球部でマネジャーを務めていた中村さんは 「どうしても野球に関わることをしたい」 と同校を自分で探し出し志望。北海道出身ながら遠く離れた大阪へ。野球部のマネジャーを務めながら、14年に宮崎で女子W杯が行われた際に記録員として参加。そこから国際記録員を志し後に同校に養成講座ができた。ジャカルタのアジア大会は、中村さんにとって初めて参加する海外の大会だった。そこで感じたのは、海外と日本の記録員の立場の違い。「ジャカルタでは裏方はみんな一緒という感じでした。審判とのコミュニケーションもたくさんありました。みんなが1つになっていると世界で感じました」。試合開始前にスターティングメンバーが発表された後、日本で名前が呼ばれるのは審判員だけだが、海外では審判員とともに記録員の名前も呼ばれるという。記録員の置かれる立場の違いを、世界大会で実感した。履正社医療スポーツ専門学校の硬式野球コースGM、森岡正晃氏はこう話す。「プロ野球選手を目指す学生はもちろんいる。今後日本の野球が発展するために、裏方さんを育てていきたい。そういうところを目指す人が増えるように、広めてどんどん育成していきたい。野球界の発展のために、日本の野球界のために、人作りをしたい」。国際記録員を目指して同校を志望する学生も増えているという。「松本奈都美というOBは、甲子園警察署で勤めていますが、今回有給を取って国際記録員として参加しました。今後野球界でがんばってほしいと思いますし、20年の東京オリンピックを目指して続けていってほしい」 と森岡さんは言う。現在、国際記録員として活動する人は国内に数人しかいない。中村さんや松本さんは、働きながら東京五輪参加を目指す。野球界の発展のため、選手だけでなく裏で支える人材の育成も重要になってくる。【磯綾乃】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)