toin全国高校野球選手権大会3回戦の相手は大阪桐蔭。これまでに夏の甲子園を4度制した強豪だ。初優勝したこの大会で、最も苦しめたのが秋田だった。8回を終え、秋田が3-1とリードしていた。九回2死まで追い込んだが、粘る相手に安打を許した。その瞬間、空気が変わったと感じた。「相手の地元。1回にうちが3点を取った時は球場がシーンとなった。それが1本の安打でウワーッとなった」 エースの菅原朗仁がまさかの4連打を浴びて追いつかれた。だが、本当にうなったのは、次の10回の秋田の攻撃のとき。、「二死ながら走者を二塁まで進め、サヨナラ勝ちのチャンス。ここで佐藤幸彦主将がセンター前に安打を放った。『よし、サヨナラだ!』 と思いました」 だが、大阪桐蔭の守備は鍛えられていた。ストライク返球で、本塁へ突っ込んだ走者がアウトに。「ここまでやっても勝てないのか……」 と唇をかんだ。 逆に11回、勝ち越し本塁打を沢村通選手に打たれて力尽きた(大会史上3人目のサイクル安打)。