mainiti<3月20日スポーツ報知>バタバタ転じて、予行演習だ。第87回センバツ高校野球 (21日から12日間、甲子園) に初出場する大曲工は19日、予定していた比叡山 との練習試合が雨天中止となり、奈良・生駒市内の室内練習場で汗を流した。当初は2時間の予定が、アクシデントで練習時間が半分に。それでも武田龍成投手(3年)は 「甲子園の予行演習」 と超ポジティブに捉えた。練習開始の正午を過ぎても、室内練習場に大曲工ナインの姿が見えない。無人の時間が50分間続いたところで、ようやく選手を乗せたバスが到着。阿部大樹監督(44)は 「私が練習時間を勘違いしていました。選手に申し訳ない」 とバツが悪そうに話した。施設が使えるのを午後1時からと勘違いした上、バスが高速道路を降りるインターチェンジを間違え、渋滞にもハマってしまったという。そんなドタバタ状態でも、選手たちは速やかに準備を行い、内野陣はノックを受け、外野陣はトスバッティング。投手陣はブルペンでの投げ込みと、一切無駄な時間を作らず動いた。アップの時間を除けばわずか45分間の練習だったが、エース右腕の武田は 「攻守交代の早い甲子園の予行演習になった。急ぐという部分では同じ。テキパキできた」と迅速な攻守交代を求められる“甲子園タイム”の練習になったと、発想を切り替えた。当初、武田は少しばかり落胆の表情を見せていた。直近の練習試合では2試合計10回を投げて11失点と調子が上がっていなかっただけに、「投げて確かめたかった」 と練習試合に意気込みを示していたが、貴重な実戦登板の機会を失った。それでも、予期せぬ事態を 「予行演習」 と表現する発想の転換で前向きな姿勢を見せた。ブルペンでは約50球を投げ込み 「フォームを崩さないように意識している。まだ時間があるので調子を上げていきたい」 と、初戦となる第4日(24日)第1試合の英明戦へ、懸命の調整を続けた。大曲工は8日の対外試合解禁から本番まで9試合の練習試合を組んでいたが、悪天候で5試合が流れてしまった。それでも、指揮官もまた 「天気にはかなわない。今日もリフレッシュできたと思えば。試合が続いて課題が山積みになるよりいいのかも」 と楽観思考。アクシデントも 「経験」 に変える大曲工は、平常心を保って甲子園へ乗り込めそうだ。(鈴木文人)