2362971c-s阪神18年ぶり6度目のセ・リーグ優勝。優勝を決めた対巨人戦、4−1で迎えた8回、阪神のリリーフ陣が細かい継投をみせて巨人の攻撃を1点にしのいだ。この回3番手で登板した岩貞祐太が先頭の代打・北村に左前打を許すと、続く途中出場の大城に適時二塁打を浴び、4−2。なお無死二塁のピンチで石井大智(26)が登板し、長野を三ゴロに打ち取る。一死2塁で今度は島本浩也が4番手でマウンドへ。代打・萩尾に対して1−2から直球を内角に投げ込み見逃し三振。丸もカウント2−2からスライダーで空振り三振に斬って取り、火消しに成功。<2023.5.12> 阪神石井大智投手(25)、対ヤクルト戦でNPB史上初「 高専卒 」プロ1勝。< 2021.3.3 AERAdot.編集部 身長175センチと、投手としては決して恵まれた体格ではないが、150キロを超す力強い直球に加え、右の上手投げの投手はめったに投げない変化球「シンカー」を巧みに操る器用さも持ち合わせている。その経歴は、一風変わっている。秋田東中では軟式野球部で野手だった。一時は投手を務めたが、後に秋田商のエースとして甲子園を沸かせ、2015年のドラフト会議でロッテから3位指名された成田翔に、エースの座は奪われた。国立の秋田工業高等専門学校に進学し、環境都市工学を専攻。身長は150センチちょっとしかなく、野球部に入る予定ではなかったという。当時、野球部の監督だった白根弘也氏(同校准教授)は入部当時の石井大について、こう振り返る。「遠投は80メートル、球速は120キロ出ていたかどうか。そもそも高専はプロを目指すような選手が来る学校ではなく、大手企業への就職を目指してみんなが勉強に励む環境で、野球部に入る生徒は少数です。その少ない1年生部員の中でも、石井は特に目立つ存在ではありませんでした」身長がぐんぐん伸び、2年秋にエースの座を掴んだ石井大。球速は130キロを超え「秋田県内では少しは知られる存在になった」(白根氏)ものの、3年夏の甲子園県予選は2回戦でシード校に敗れた。5年制の高専は、高校野球は3年の夏で引退となるが、4、5年時も高専だけの大会がある。石井大も練習は続け、体重増加にも成功したことで球速は140キロをマークするまでに成長した。ただ、建築関係の仕事に就くことを目指しており、周りと同じように就職活動をし、誰もが知る大手企業から内定をもらった。だが、突然、安定の道を捨て進路を変えた。5年生に上がるころ「野球でご飯を食べたいんです」と相談してきた石井大の姿を、白根氏は今でも覚えている。プロ入りした成田の姿に刺激を受け、決意を固めたという。自ら情報を集め、独立リーグ・四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスが6月にトライアウトを行うことを知った。いざ受験すると、かつて巨人、横浜で活躍した駒田徳広監督(当時)から、いきなり内々定をもらった。白根氏は懐かしむ。「合格したのかと、本当に驚きました。駒田監督に評価されて本人は大きな自信をつけたようでしたが、それでも僕は、高専の部活動で野球をやった選手が本当に上の世界で通用するのかと、不安の方が大きかったんです」大手企業の内定を辞退して独立リーグ入りした石井大は、白根氏の心配をよそに1年目から活躍。2年目には最多奪三振のタイトルを獲得するなど力を伸ばし、道を切り開いた。高専出身の選手で日本プロ野球機構(NPB)の球団からドラフト指名を受けたのは09年の鬼屋敷正人氏(巨人2位=引退)以来、2人目となる。ただ、鬼屋敷氏は3年時に指名を受けたため高専を「特別修了」した。5年かけて卒業した選手で、ドラフト指名を受けたのは石井大が史上初だ。白根氏は、「探求心がとても強い選手。例えば変化球の投げ方でも、私がひとつひとつ教えるのではなく、自分で動画を見て研究していた。石井がここまで成長できたのは、探求心の強さがあったからだと思います」と教え子を評価し、こうエールを送る。「内定していた企業に就職していれば、安定した人生が待っていたはず。プロになりたいという夢の方がそれを上回って、本当にドラフト指名されてしまった。すごいことですよね。僕は根っからの阪神ファンなのですが、石井が阪神のユニフォームを着ていることに、いまだに実感がわきません(笑)。シーズンに入ってからが本番ですが、負けん気の強さを生かして頑張ってほしいと思います」異色の経歴をたどった右腕。日本野球の歴史に、その名を刻むことができるか。<2020.11.16> 阪神は11月16日、今秋ドラフト8位で指名した四国IL高知・石井大智投手(23)と高知市内のホテルで仮契約、契約金1500万円、年俸550万円。最速153キロの右腕で切れ味鋭いシンカーが武器。<2020.10.27> 独立リーグ 四国IL高知 石井大智投手(秋田高専-秋田東)阪神タイガース8巡目指名。<後攻  /  秋田高専7回裏攻撃中> [中]長谷川航平(3、秋田西)、→[左]三浦理輝(2、桜)→[三]小林和真(2、勝平)→[捕]○ 澤石卓磨(3、井川)→[右]川邊一之(2、城東)→[遊]星颯杜(3、上小阿仁)→[三]宮田一平(3、山王)→[二]照井貴元(2、御所野学院)→[投]石井大智(2、秋田東)。平成24年夏秋田東中学校登録選手、第78回秋田県少年野球大会出場。[投]成田翔(3、保戸野)[捕]金寛人(3、旭川)[一]佐藤祐太(3、旭川)[二]石井大智(3、旭川)[三]古屋元気(3、明徳)[遊]○ 棟方陽平(3、明徳)[左]庄司悠人(3、明徳)[中]小松田健吾(3、明徳)[右]田口伸太(3、保戸野)、石黒咲多(3、旭川)、石郷岡昇汰(3、明徳)、木村洸太(3、明徳)、佐藤直弥(3、旭川)、小林孝徳(3、明徳)、天野幹也(3、旭川)、工藤大河(2、旭川)、稲津智也(2、旭川)、近藤希一(2、旭川)、朝比奈歩輝(2、明徳)、佐藤燿祐(2、旭川)、[部]小坂祥通[監]須藤孝和[記]金和人(2)。