1950年代に3年間しか存在しなかったプロ野球チームのエースを追ったノンフィクション「無名の開幕投手~高橋ユニオンズエース・滝良彦の軌跡」(桜山社)が刊行された。著者は中京テレビアナウンサーの佐藤啓さん(58)。根っからの野球好きと愛校心が、隠れた名選手の半生を浮かび上がらせた。【毎日新聞、太田敦子】滝投手は名古屋市の南山大(当時は南山外国語専門学校)出身の唯一のプロ野球選手。52年に「毎日オリオンズ」に入団し、54年に新球団「高橋ユニオンズ」に移籍、開幕投手を務めた。しかし球団は3年で解散し、30歳で現役を引退した。佐藤さんは愛知県出身で南山大を卒業。90年に中京テレビにアナウンサーとして入社した。デビューは巨人・中日戦の「ドラゴンズ応援放送」の副音声実況だったという。雑誌でたまたま滝投手の存在を知った佐藤さんが本人と対面したのは2017年、87歳で亡くなる3年前だった。体調を崩し話すのがままならなくなるまで、約20回にわたり話を聞き取った。球界関係者や同窓生、かつての同僚など80人以上にも取材を重ねた。スポーツの実況中継を数多く経験してきた佐藤さんが、プロ歴8年の滝投手に魅せられた理由の一つは出身大学の先輩だったこと。「南山大はスポーツのイメージが薄いが、こんなにたくましい先輩がいたことに本当に驚いた」と明かす。つかれたように資料を集め、電話をかけ、足を運んで情報を集める様子は本に登場する。滝投手の人生を丹念に追う中で、派手ではないが真面目に練習に打ち込み、堅実なプレーで信頼を集める選手像、謙虚だが強い自負を持った人柄が浮かび上がってきた。本では野球を取り巻く歴史もひもといている。戦時中の高校では敵国発祥のスポーツに圧力がかかり、野球部が廃止されたこと。戦後、粗悪なバットやボールに悩まされながらもプレーできる喜びに浸ったこと。それぞれの時代に活躍した他の選手も、実況中継さながらに生き生きと描かれている。佐藤さんは「滝さんを通した出会いで、より野球が好きになった。大きなプレゼントでした」と話している。<2015.9.01>1954年から3年間でプロ野球界から姿を消した 「高橋ユニオンズ」 のオーナー、故高橋龍太郎氏の孫にあたる秋山哲夫さん(73)が、計600ページに及ぶ 「球団の歩み」 を自費出版。<2014.11.20>
2014(平成26年)11月19日、1954(昭和29年)からわずか3年間パ・リーグに所属しただけで、プロ野球界から姿を消した 「高橋ユニオンズ」 OB会が都内で開催。<2012.1.03>「最弱球団高橋ユニオンズ青春記」(長谷川晶一、平成23年9月刊、定価税込1,890円、白夜書房)。高橋ユニオンズは、戦後たった3年間(1954年~56年)だけ存在した幻の球団で日本プロ野球史上唯一の高橋龍太郎氏個人所有による球団。雑誌「野球小僧」の連載に大幅に加筆修正して単行本化、高橋ユニオンズ全所属選手/高橋ユニオンズ全試合結果収録。